標準的なモデル世帯の年金受給額
まずは、モデル世帯の年金受給額を見てみましょう。
厚生労働省は毎年1月に、総務省が公表する前年平均の全国消費者物価指数を踏まえ、翌年度の年金額の改定を発表し、「1人分の国民年金の満額」と「夫婦2人分の国民年金を含む標準的な年金額」をモデルケースとして示します。
厚生労働省のモデルケース(月額:令和3年度)
●1人分の国民年金額(満額):65,075円
20歳~60歳までの40年間、保険料を満額支払ったとするケースです。
●夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額:220,724円
夫が平均的年収(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間働き、妻がその期間すべて専業主婦であったとするケースです。
厚生労働省はモデルケースとして上記のケースを挙げていますが、現実的には、このモデルケースにあてはまらない世帯のほうが多いと思います。
あくまでも、ひとつの目安として参考にしてください。
1ケ月あたりの平均受給額
1ケ月あたりでは、どのくらいの年金がもらえるのでしょうか?
国民年金、厚生年金それぞれの平均受給額を見てみましょう。
国民年金の1ヶ月あたりの平均受給額
平成27年度 | 55,157円 |
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平成28年度 | 55,373円 |
平成29年度 | 55,518円 |
平成30年度 | 55,708円 |
令和元年度 | 55,946円 |
厚生年金の1ヶ月あたりの平均受給額
平成27年度 | 145,203円 |
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平成28年度 | 145,638円 |
平成29年度 | 144,903円 |
平成30年度 | 143,761円 |
令和元年度 | 144,268円 |
年代別平均受給額
年齢別での平均受給額は以下の通りです。
国民年金(令和元年度)
60歳~64歳 | 42,023円 |
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65歳~69歳 | 57,108円 |
70歳~74歳 | 56,697円 |
75歳~79歳 | 55,922円 |
80歳~84歳 | 56,572円 |
85歳~89歳 | 55,175円 |
90歳以上 | 49,232円 |
厚生年金(令和元年度)
60歳~64歳 | 76,681円 |
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65歳~69歳 | 142,972円 |
70歳~74歳 | 146,421円 |
75歳~79歳 | 151,963円 |
80歳~84歳 | 160,575円 |
85歳~89歳 | 163,489円 |
90歳以上 | 161,044円 |
年齢が若いほど年金受給額が少ないのは、2013年に施行された年金制度の改正により、年金受給年齢の引き上げと、支給年金額の引き下げが同時に行われた影響を受けているためと思われます。
自分の年金を確認しよう
1ケ月あたりの平均受給額や、年齢別での平均受給額が分かったけど、自分がどのくらいもらえる予定なの?
自分自身の年金を知ることが大切です。
自分が将来もらえる年金額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を見ることで、ある程度把握することができます。。
ねんきん定期便
年に1回、誕生月にご自身の年金加入記録などが記載された「ねんきん定期便」が日本年金機構から送られてきます。
ねんきんネット
「ねんきんネット」を使えば、スマートフォンやパソコンから年金の情報を確認できます。
また、さまざまな条件を入れて年金をいくら受け取れるか試算もできるようになっています。
公的年金だけでは難しい時代に
公的年金は、現在働いている現役世代が支払った保険料を高齢者の年金給付に充てることで成り立っています。
今の20代~30代の方が高齢者になる2065年には高齢化率が今よりもさらに高くなります。このような状況下では、年金額を減らす、さらには年金の支給開始年齢を引き上げるなどしなければ年金制度は維持できなくなってくると予想されます。
年金がもらえないわけではないことが分かっていても、若い世代の方たちは、今年金を受給している方より年金額が減ることは覚悟しなければなりません。
若い世代が今からできること
日本は、公的年金だけでは生活が難しい時代に向かっています。
公的年金の不足分を補う方法として、若い世代の方が今からできることを紹介します。
iDeCo
iDeCoは老後資金を自分でつくるための制度です。
自分が拠出した掛け金を、自分で運用し、資産を形成していきます。
掛金を60歳になるまで拠出し、60歳以降に給付が年金として受け取れます。
つみたてNISA
つみたてNISAは、積立投資する際に利用できる少額投資非課税制度です。
投資で得た利益には、約20%の税金がかかりますが、「つみたてNISA」を利用すると売却時の税金が非課税で受け取ることができます。
定期預金
定期預金とは、はじめに預入期間を決めて利用する預金です。
満期日まで基本的には引き出すことはできませんが、普通預金に比べて金利が高いです。
若い世代の人にも、一番馴染みのある方法ではないでしょうか。
個人年金保険
個人年金は保険会社が扱う保険商品です。
保険料を払い込み、契約時に決められた年齢に達したら保険料に応じた年金を受け取ることができます。
財形貯蓄
財形貯蓄は、福利厚生の一環として導入している会社の従業員が利用できる貯蓄制度です。
銀行などに預けるより、金利がいい場合があります。
企業型DC(企業型確定拠出年金)
企業型DCは、福利厚生の一環として導入している企業の従業員が利用できる年金制度です。
企業が掛金を毎月積み立てて(拠出し)、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。
まとめ
日本は、公的年金だけでは生活が難しい時代に向かっています。
公的年金の不足分を補う方法として、若い世代の方が今からできることを考え実践していきましょう。