みなさんは、病院から病院へ転院した経験はありますか?
例えば上の図のように病気を発症しA病院に入院、そしてA病院での治療が一段落しB病院へ転院となったとします。
その際に、高額療養費の考え方として医療機関ごとでの計算となりますので、A病院とB病院それぞれで医療費を支払う必要があります。
限度額適用認定証を医療機関の窓口で提示していると、自己負担限度額までの支払いで済みますが、それぞれの医療機関で自己負担額までを支払わなければならないため、医療費の合計金額は高額になってしまいます。
みなさんは、A病院B病院に自己負担額までの医療費を支払ったままにしてはいないでしょうか?
高額療養費の世帯合算を活用すると1ケ月の自己負担限度額を超えた部分が戻ってくる可能性があります。
この記事でわかること
- 病院を転院する際の高額療養費活用法
転院時には高額療養費の世帯合算を検討しよう
同じ月に複数の医療機関にかかった場合、21,000円以上の自己負担を支払った医療機関の医療費を合算できる制度があります。
21,000円を合算して自己負担限度額を超えている部分が手続きを行うことによって返金されます。
つまり、A医療機関の医療費とB病院の医療費がそれぞれ21,000円を超えている場合に合算をすることができます。
上の図のように、
- A病院に6月1日~6月15日まで入院
- 6月15日にA病院からB病院へ転院
- B病院に6月15日~6月30日まで入院
したと仮定して考えていきます。
A病院では医療費を約10万円支払っています。
そして、B病院でも医療費を約10万円支払っています。
同じ6月にA病院B病院それぞれの医療機関で21,000円を超えていますので、高額療養費の世帯合算が対象になることが分かります。
A病院10万円とB病院10万円の合計20万円となります。
20万円から高額療養費の自己負担限度額を超えた部分が返金される計算となります。
69歳以下の方で一般「区分ウ」の場合
A病院で既に自己負担限度額までの支払いとなっているため、手続きを行うことでB病院の医療費の約10万円が返金されることになります。
医療機関での窓口での自己負担が21,000円を超えていないときは合算はできません
上の図の場合、
- A病院に6月1日~6月28日まで入院
- 6月28日にA病院からB病院へ転院
- B病院に6月28日~6月30日まで入院
A病院では医療費を約10万円支払っています。
しかし、B病院では医療費を約1万5千円しか支払っていません。
高額療養費の世帯合算はそれぞれの医療機関で21,000円を超えていないと合算ができないため、B病院の医療費は合算の対象外となります。
よって、上記の場合には高額療養費の合算はできないことになります。
自己負担限度額
69歳以下の方の場合
70歳以上の方の場合
手続きの方法
- 高額療養費支給申請書
- 医療機関の領収書
- 銀行口座番号のわかるのも
- 健康保険証
- 印鑑
を揃えて加入している公的医療保険の保険者に申請します。
後期高齢者医療保険
- 市区町村役場
国民健康保険
- 市区町村役場
全国健康保険協会(協会けんぽ)
- 各都道府県支部
健康保険組合など
- 加入している健康保険組合など(会社の人事労務担当者に相談してみて下さい)
国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者は対象となった場合に市区町村役場から案内があります
国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者は、対象となった場合には市区町村役場から案内があります。(市区町村によって案内がないかも?)
市区町村役場にて1度手続きを行うと、次回以降は対象となれば自動的に銀行口座に返金が行われるようです。
まとめ
転院時には高額療養費の世帯合算の対象となるか確認を行いましょう。
同じ月に、それぞれの医療機関で21,000円を超えていれば合算することが可能です。
合算して自己負担限度額を超えた部分は手続きによって戻ってきます。
医療ソーシャルワーカーとして働く中で、転院時の高額療養費について知らない方が多く見受けられます。
知っているか知らないかで医療費の支払いに大きな差が出てしまいます。
世帯合算を活用して医療費を最小限に抑えましょう!!